むらやま・ゆういち
1989年、東京慈恵会医科大学卒業。95年、カリフォルニア大学ロサンゼルス校脳血管内治療部留学。2001年、カリフォルニア大学ロサンゼルス校脳血管内治療部准教授。03年、東京慈恵会医科大学脳血管内治療部診療部長。04年、東京慈恵会医科大学脳神経外科特任教授、カリフォルニア大学ロサンゼルス校脳血管内治療部教授。10年、東京慈恵会医科大学脳神経外科学講座教授。11年、カリフォルニア大学ロサンゼルス校脳血管内治療部教授。13年、東京慈恵会医科大学脳神経外科講座主任教授。16年、東京慈恵会医科大学脳卒中センター長。脳血管内治療専門医、脳神経外科専門医

脳動脈瘤の患者さんはストレスマネジメントを上手に行い
担当医師には治療成績とリスクを必ず聞くようにしましょう。

脳神経外科における脳血管内治療は、血管内に通す細い管であるカテーテルやコイル(プラチナ製の細い糸)、ステント(金属の筒)などのさまざまな道具を使って治療を行う。低侵襲治療として注目される脳血管内治療の中で、脳動脈瘤コイル塞栓術について日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医、日本脳神経血管内治療学会認定脳血管内治療専門医など多くの専門医から支持された東京慈恵会医科大学の脳神経外科学講座主任教授で脳血管内治療部診療部長兼脳卒中センターセンター長の村山雄一医師に話を伺った。

未破裂脳動脈瘤を対象とした脳動脈瘤コイル塞栓術

 脳の血管にできた瘤(こぶ)が脳動脈瘤(りゅう)で、これが破裂するとくも膜下出血となります。脳動脈瘤が破れる可能性が高かったり、破裂しなくても周囲の組織が圧迫されて症状が出たりした場合は、手術療法を考慮します。
 未破裂の脳動脈瘤を対象とした脳動脈瘤コイル塞栓術は、カテーテルを使って動脈瘤内にプラチナ製のコイルを詰め動脈瘤を閉塞する方法です。一般的に70歳以下で径5㎜以上の動脈瘤については、この治療を考慮してもよいとされていますが、5㎜以下の動脈瘤についても、数多くの治療が行われているのが現状です。
 当院が集計した2003年4月~2012年12月における約2000例の経過観察の患者さんの症例について、3㎜の脳動脈瘤破裂は0・2~0・3%の比率となっています。一方、合併症の発症率は、2~3%程度です。
 当院には、脳動脈瘤の患者さんが年間600人程度来院します。そのうち約3分の1の方が脳血管内治療や開頭クリッピング術を選択されています。5㎜以上の脳動脈瘤の場合は、6~7割が手術を行っています。7㎜以上については、8割程度を手術しています。また、極度に変形した瘤や、瘤の上に瘤ができているような特異なケースは瘤が小さくても手術が優先されたりします。

脳動脈瘤が見つかった時は最初のコンタクトが大切

 脳動脈瘤が見つかった時、患者さんはパニックになってしまうことが多いため、最初のコンタクトでドクターがどういう説明をするかが大切です。
 未破裂脳動脈瘤を抱えた患者さんは、ものすごい不安感に襲われます。それを安心させるためには、きちんとしたデータに基づいて破裂のリスクと治療のリスクを客観的に説明し、患者さんの不安を取り除いてあげるのが第一だと考えています。眉間にしわを寄せて、「うーむ」とやっては駄目です。
 説明の仕方ひとつをとっても、3㎜程度なら、「1000人に3人しか破れないですよ。997人は大丈夫です」といった具合に話します。
 脳動脈瘤は、8割が不変ですが、2割については大きくなる場合があります。特に過度のストレスがかかると増大する傾向にあります。たとえば、親の介護で24時間365日在宅で介護し、なかなか休めない人、それから全てを自分でやらないと気がすまない会社の経営者などで、60~70代の一人で抱え込んでしまうような人に多いのが特徴です。

最悪のシナリオを常に考えつつ安心・安全な治療を心がける

 患者さんにリスクが低い治療の選択肢はどれかという話をし、いざ脳動脈瘤コイル塞栓術を行うと決めたら、安心・安全な治療を心がけます。その第一は、合併症を出さないことです。
 私の場合、術前にこういう不測の事態に陥った時は、このようにバックアップすれば大丈夫といった具合に、最悪のシナリオを想定し、あらゆる対処法を事前に練ってから治療に臨むようにしています。  患者さんには、ストレスマネジメントを上手にしましょうといいたいですね。脳動脈瘤を持っていることが、過剰なストレスになりますから。予防も大切で、煙草を吸っている人は、それをやめるなど、まず自分でできることからはじめましょう。
 脳動脈瘤コイル塞栓術などの脳血管内治療を受ける場合、担当の医師には治療成績とリスクは必ず聞くことをおすすめします。気にいらなければ、セカンドオピニオンを検討してもいいと思います。
 脳動脈瘤は10㎜以上あれば可及的早期に治療を行います。5~7㎜の場合は、一般的には治療適応ですが患者さんが精神的にすぐに治療を受け入れられないのであれば経過観察という選択肢をしても間違いではありません。

再発をなくすことを目標に医療機器の開発に取り組む

 私は、コイルを開発したカリフォルニア大学ロサンゼルス校に留学し、脳血管内治療について学んできました。コイル塞栓術には再発があり、それがなぜ起こるかというのを米国で研究しました。2年間の研究を終え、さて日本へ帰ろうと思ったら、残って手術に加わったらどうかとオファーを受け、米国の医師免許を取得し、正式なスタッフとして臨床と研究に従事しました。
 30代から血管内治療の医療機器開発に取り組んでおり、世界初の生体反応性を高めた塞栓用コイルなどは、私たちの研究グループが米国で研究開発したものです。
 血管内治療では、再発をなくすことを目標にさまざまな取り組みを行っています。なおかつ、誰が治療を行っても治せるようなシステムづくりを目指しています。

※2017年9月30日 掲載

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医療機関情報
施設名 東京慈恵会医科大学附属病院
フリガナ トウキョウジケイカイイカダイガクフゾクビョウイン
TEL 03-3433-1111(代)
住所 東京都港区西新橋3-19-18
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